[アップデート] Amazon OpenSearch Service データ探索とコラボレーションを強化する次世代UIを試してみた
AWS事業本部コンサルティング部の石川です。Amazon OpenSearch Serviceは、データ探索とコラボレーションを強化するために設計された次世代UIが発表され、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させました。re:Inventの前にこんな大きなアップデートが来るなんて、、、それでは新しいUIを紹介します。
主な特徴
統合されたデータ分析
新たに提供されたUIは、複数のOpenSearchクラスター、サーバーレスコレクション、さらにはAmazon S3などの統合データソースにアクセスできます。これまでのOpenSearch Dashboardsは1つのクラスターにしか接続できませんでしたが、複数のデータソースを1つの場所で分析できるようになり、包括的な分析が可能になります。
新しいOpenSearch分析エクスペリエンスでは、マネージドドメインとサーバーレスコレクションにまたがるデータを単一のエンドポイントから分析できるようになりました。これにより、ユーザーは複数のデータソースを切り替えることなく、効率的に分析できます。
ワークスペースの導入
新しいUIでは「ワークスペース」という概念が導入されました。ワークスペースを使うことで、特定のユースケース向けに最適化された環境を作成し、チームは専用のスペースを作成し、ダッシュボードや保存されたクエリなどのコンテンツを共有・管理できるようになります。
Discoverの強化
Discoverインターフェースが大幅に改善され、統合されたログ探索エクスペリエンスを提供します。新しい機能には以下が含まれます。
- SQL、DQL、Lucene、PPL(Piped-Processing-Language)など複数のクエリ言語をサポート
- 自然言語によるクエリ生成機能の追加
- クエリのオートコンプリート機能
- 新しいデータセレクターによる複数データソースの簡単な切り替え
バージョン非依存のUI更新
この新しいUIは、基盤となるマネージドクラスターやコレクションのバージョンに関係なく、最新のUI機能にアクセスできることが特徴です。
アーキテクチャの変更点
アーキテクチャの変更に伴い「ワークスペース」の概念が導入されました。従来のAmazon OpenSearch Serviceと新しい次世代UIの違いについて解説します。
従来のシステム
従来のAmazon OpenSearch Serviceでは、OpenSearch Dashboardsが各クラスターに紐づいて動作していました。これには以下のような制限がありました。
- 1つのOpenSearch Dashboardsは1つのクラスターにのみ接続可能でした。
- 複数のクラスターにまたがるデータを分析する場合、それぞれのクラスターのDashboardsを個別に操作する必要がありました。
- ワークロードが複数のクラスターに分散している場合、統一された分析体験を得ることが困難でした。
新しい次世代UI
新しく導入された次世代OpenSearch UIでは、以下の改善が行われました。
-
単一のエンドポイントから複数のデータソースにアクセス可能
- マネージドドメイン(OpenSearchクラスター)
- サーバーレスコレクション
- Amazon S3などの統合データソース
-
OpenSearchアプリケーションという概念の導入
- 次世代OpenSearch UIのインスタンスとして機能。
- 複数のOpenSearchクラスター(バージョン1.3以上)に関連付け可能。
-
包括的な洞察の集約
- 複数のクラスターやデータソースからのデータを一箇所で分析可能。
-
既存のDashboardsとの共存
- 新UIの導入後も、各クラスターに紐づいた従来のOpenSearch Dashboardsは引き続き機能。
この新しいアプローチにより、ユーザーは複数のデータソースを切り替えることなく、効率的にデータ分析できるようになりました。これは特に、大規模なデータセットを扱う企業や、複数のクラスターを運用している組織にとって、分析プロセスを大幅に簡素化し、生産性を向上させる重要な進化といえます。
OpenSearchアプリケーションを試してみる
AWSマネジメントコンソールでOpenSearchアプリケーションを作成することで、この新しいUIの利用を開始できます。なお、新しいOpenSearchユーザーインターフェースは、OpenSearchドメイン(バージョン1.3以上)とサーバーレスコレクションに接続できます。すでに、東京リージョンで利用可能です。
ドメイン(mydomain)の作成
今回は、検証用にOpenSearch Serviceのドメイン(mydomain) を以下の設定で作成しました。
作成されたドメインは以下になります。
OpenSearchアプリケーションの作成
新しいUIを使用するには、OpenSearchアプリケーションを作成します。
Amazon OpenSearch Service コンソールで、ナビゲーションパネルの [一元管理] の下にある **[OpenSearch アプリケーション]を選択して、[アプリケーションの作成] ** をクリックします。
アプリケーション名(myapp) を入力します。OpenSearch アプリケーション管理者の管理 はそのまま、[作成] をクリックします。
データソースの関連付け
アプリケーションを作成したら、データソースを関連付け、ワークスペースを作成して実際の分析作業を開始できます。
OpenSearch アプリケーションにデータソースとなるドメインを指定して、[保存] をクリックします。
OpenSearch アプリケーションの操作
新しい OpenSearch アプリケーションにアクセスするには、**[アプリケーションの起動]**を選択します。
新しいワークスペースを作成する
アプリケーションのホームページに移動してワークスペースを作成したり、既存のワークスペースにアクセスできます。以下の画面でワークスペースを作成します。
このワークスペースに少なくとも 1 つのデータ ソースを追加します 。
ワークスペースにデータを追加すると以下のように設定されます。
最後に、画面右の[Create Workspace]を選択して、ワークスペースを作成します。
共同作業者を招待する
ユーザーまたはグループを共同作業者として追加できます。ワークスペースの共同作業者とは、このワークスペースで一緒に作業するために招待するユーザーです。共同作業者には、管理者、読み取り/書き込み、読み取り専用の 3 つの権限レベルがあります。なお、後でも変更可能です。
その他
上記以外にも、ワークスペースのナビゲーションが改善や統合言語セレクターで様々なクエリ言語を選択できるようになりました。更に自然言語クエリをサポートするようになりました。
最後に
Amazon OpenSearch Serviceの次世代UIは、データ探索とコラボレーションを大幅に強化する革新的な機能を提供しています。複数のOpenSearchクラスター、サーバーレスコレクション、さらにはAmazon S3などの統合データソースへのアクセスが可能になり、包括的なデータ分析が実現しました。
新たに導入された「ワークスペース」の概念により、チームは専用のスペースでダッシュボードや保存されたクエリなどのコンテンツを効率的に共有・管理できるようになりました。Discoverインターフェースの改善により、複数のクエリ言語のサポートや自然言語によるクエリ生成機能など、ユーザーフレンドリーな機能が追加されています。さらに、このUIはバージョンに依存せず、常に最新の機能にアクセスできる点も大きな利点です。
新しいアーキテクチャでは、OpenSearchアプリケーションを通じて複数のデータソースを一元管理できるようになり、特に大規模データセットを扱う企業や複数クラスターを運用する組織にとって、分析プロセスの簡素化と生産性の向上が期待できます。この次世代UIは、データ分析の効率性と協力体制を大きく向上させ、より深い洞察を得るための強力なツールとなることでしょう。